ある日、突然動かなくなるプラレール。
そんな、壊れて走らなくなったプラレールを修理する方法を、全4回に分けて紹介してきました。
今回は最終回。いよいよモーターを交換します。
これまでの回では故障箇所の特定、劣化したゴムタイヤの交換、車軸のピニオンギアの交換を行いました。

あとはモーターを交換すれば、シャーシまわりはほぼ新品同様です。
モーター交換では「はんだ付け」する必要があるため難易度は上がりますが、手順どおり進めれば大丈夫です。
写真付きで、なるべくわかりやすく解説していきますので安心してください!
これまでの回はこちらから
- プラレールにはミニ四駆のモーターを流用可能
- はんだごてを使ってモーターを交換する
Contents
今回修理するプラレール「スーパービュー踊り子」(旧塗装)


今回修理するのは「スーパービュー踊り子」(旧塗装)です。
単2形の電池を使う少し古いタイプで、二階建ての渋いデザインがかっこいい車両。
電池を入れてもまったく動かないとのことで譲り受けました。
こちらの車両を修理していきます。
修理箇所はギアボックス内のモーター

このプラレールが動かない主な原因として、モーター部分の不良が考えられます。
よく見るとはんだが片方外れていたため、その箇所を正しくはんだ付けすれば動く見込みです。
せっかくなので、今回は新しいモーターへ交換します。
プラレールのモーターはミニ四駆用モーターと同規格のため、流用可能です。
今回は新しくミニ四駆用のモーターを購入して取り付けます。
プラレールのモーター交換に必要な道具
ミニ四駆用モーター
今回は試しに「パワーダッシュモーター」を初めて使ってみましたが、手持ちのプラレールで一番速く走るようになりました。
速いのは良いのですが、複雑なコーナーのレイアウトでは脱線しやすいため、常用にはあまりおすすめしません。

おすすめは「トルクチューンモーター」です!
適度なパワーでスピードもほどよく、コースアウトの心配が少ない印象です。無難に使えます。
ちなみに、さらに高速な「ウルトラダッシュモーター」もあります。
さらにはタミヤ製ではない、怪しくも速そうなモーターもあります。
このあたりのモーターは筆者は未検証のため、プラレールでの挙動は不明です。

最速のプラレールに興味のある方は自己責任で試してみてはいかがでしょう。
はんだごて
学生時代の技術の授業以来の「はんだごて」です。
モーターと金具をはんだ付けして、電気を通るようにします。
温度調整できるタイプは少々高価ですが、作業が安定します。
はんだ
はんだごてで溶かして接合する金属です。
はんだ吸取線
溶けたはんだに当てて吸い取り、除去するための線です。
ほかに、空気で吸い取るタイプもあります。
はんだごてのセット
個別にそろえるより、手早くお得なセットでまとめて用意するのも一案です。
グリス
ギアの回りをよくするオイル状の潤滑剤です。
ミニ四駆やプラモデル用ですが、プラレールにも流用できます。
ギアボックスには多数の歯車が入っています。
グリスアップすると回転がスムーズになり、走行も滑らかになります。
接点復活剤
金具などの金属に電気を通りやすくするスプレーです。
プラレールでは、ティッシュなどに吹きかけてから塗り込みます。
プラレールのモーター交換のやり方
ギアボックスを開ける

ギアボックス側面のネジをドライバーで外します。ネジは失くしやすいので、トレーなどに入れておきましょう。
つぎにギアボックスのツメを2本外します。
内部のパーツがばらけないよう注意しながらカバーを外せば、ギアボックスを開けられます。
未開封のギアボックスはフタがのり付けされています。
その場合はマイナスドライバーなどで慎重にこじ開けてください。
この工程では、とにかくパーツを失くさないように気をつけます。

既存のモーターの半田を取り除く

電源を入れて十分に温めたはんだごてで、既存モーター部のはんだを溶かします。
中学校の技術でラジオを作ったときと同じ要領です。溶けたはんだは吸取線で取り除きます。
これで既存モーターを取り外せます。
取り外したモーターからピニオンギアを外しておきます。

取り替えるモーターを準備
プラレールとミニ四駆のモーターはほぼ同じ作りなので流用できます。
今回はミニ四駆用の「パワーダッシュモーター」を用意しました。
ミニ四駆のモーターにはパワー型とトルク型があり、パワー型はプラレールではコースアウトしやすいと言われています。
パワーダッシュモーターもくねくねしたコースだとコースアウトしがちです。
下記の記事に、パワーダッシュモーターを載せた踊り子の走行動画があります。

コースアウトのリスクを考えると、「トルクチューンモーター」あたりが無難です。

お好みのモーターを用意しましょう。
モーターを用意したらパッケージから取り出します。
はんだ付けする耳のような金具は、作業しやすいよう上向きに折っておきます。
つぎに、既存モーターから外したピニオンギアを新しいモーターへ付け替えます。
ギアには爪楊枝などでグリスを薄く塗りましょう。

パーツを洗浄し、ギア類をグリスアップ

ティッシュに接点復活剤を染み込ませ、各パーツを拭いてゴミやホコリを取り除きます。
つぎに、爪楊枝などでグリスをギアへ薄く塗り広げます。
グリスを塗ると、ギアが噛み合って滑らかに動くようになります。
ギアボックス内の歯車を組み立てる

左右のギアボックスを並べ、順番に歯車をはめていきます。
写真を参考に、上下の向きや組み込む順序に注意すれば難しくありません。
左右のギアボックスの重りは、合わせるときにパカパカして扱いづらいです。
木工用ボンドで軽く接着しておくと作業しやすくなります。
筆者は乾燥を待てなかったので、セロハンテープで仮固定しました。
ギアの組み立ては、以下の写真の1→2→3→4の順です。
スイッチがスムーズに動く位置関係を保ってください。

わかりづらい箇所なので、画像を多めに載せます。






モーター側も組み立てます。モーターの耳のような金具と電池につながる金具がしっかり重なるように挟んでください。ここは後ではんだ付けします。電池からの電流がここを通ってモーターへ伝わります。

左右のギアボックスを合わせてツメをはめ、スイッチが回るか再確認してからネジ止めします。

モーターの半田付け

ギアボックス上部の窓から見えるモーターの金属と電池側金具の重なる部分を、はんだ付けします。
十分に温めたはんだごてで、溶けたはんだを接続部へ流し込みます。

しっかり固定できていれば成功です。

電池を入れて動作確認
シャーシとギアボックスを組み立てる

シャーシ上で車輪とギアボックスを組み立てます。
電池の金具と、ギアボックスから出ている金具を確実に接触させるのを忘れないでください。
金具がきちんとつながっていないと、電池の電流がモーターまで届きません!¥
電池を入れて動くか確認

電池を入れた状態で、スイッチを入れて(オンにして)モーターがしっかり回るか確認します。
電池スペーサーを使えば、単3形電池を単2形サイズとして使えるので便利です!
電池はやはりエボルタが優秀です
修理しても動かない場合
修理しても動かない場合は、次のポイントを確認しましょう。
- 電池が切れていないか
- 電池金具に錆や腐食がないか
- 金具類がギアボックスまで確実につながっているか
- モーター部分が正しくはんだ付けされているか
はんだ付けが浮いていたり、つながっていなかったりする場合は、やり直してください。
プラレールが動いたら完成!
モーターがしっかり回れば完成です。
外装や中間車・後尾車も接続して、走行テストをしてみてください。
手順と要点を押さえれば、モーター交換はそれほど難しくありません。
電池・充電器の選び方
モーター交換で快調になったら、電池まわりを見直すと走行時間とコスパがさらに良くなります。とくにニッケル水素充電池(エネループ)や、残量・劣化がチェックできる充電器セットは、買い足しを減らせて長期的にお得です。
エネループ充電器セット(劣化判定・急速充電)
電池の「捨てどき」が分かるタイプの充電器なら、劣化したセルを見分けて無駄を減らせます。
家庭内のオモチャ・家電にも使い回せるので、結果的に電池コストの圧縮に直結します。
- 劣化判定・残量表示で「使える電池」だけを選別
- 急速充電で待ち時間が短い
- 単3・単4の併用が可能(家中の電池を集約)
単2形が必要な旧型車両は、単2スペーサー+単3エネループで代用OK
中古で購入したプラレールを修理すればお得に集められる

新品だけでなく、メルカリなどで中古のプラレールを購入して自分で修理するのもおすすめです。ジャンク品として格安で出品されているものの中には、モーター交換や清掃だけで簡単に復活できる車両も多くあります。こうした修理を行えば、通常より安くプラレールを集められるだけでなく、すでに生産終了している絶版モデルや限定カラーを入手できるチャンスにもなります。

子どもと一緒に修理に挑戦すれば、ただ遊ぶだけでなく「ものを直して使う体験」にもつながり、愛着のわくコレクションになります。
まとめ
専門知識がなくても、プラレールのモーター交換は可能でした。
修理できるようになると、中古の「動かない個体」も手に取りやすくなります。
今回の踊り子も、モーター・ギア・ゴムタイヤを交換したことで、まだまだ現役。子どもも大喜びです!
ぜひ、挑戦してみてください。
憧れのタワーレイアウトの作り方

第1回 プラレールのどこが壊れているかを突き止めるなら!

第2回 劣化してしまったゴムタイヤを新しいタイヤと交換します

第3回 割れてしまったギアを新しいものと交換します!

電車についてはこちらもチェック